みたぬメモ

地味にメモ

【ネタバレあり】ラ・ラ・ランドを観てきた

ラ・ラ・ランドを観てきた。その高揚感がある程度自分の中で形をなして留まっているあたりで、書き起こしておきたいと思う。

 

観る前

映画を観に行ったきっかけは2点あった。

後輩と食事に行った時に「ラ・ラ・ランドは期待できるんですよ。アカデミー賞ノミネート最多作品です。」と興奮気味に伝えられたことから始まる。

次に記憶に新しい、アカデミー賞での受賞ミス騒動。

なんとなくそそられるものがあって観に行くことにした。

 

ちなみにこの時点ではポスターとあらすじぐらいしか知らず、「才能はあるがまだ芽の出ていない男女がミュージカルを交えつつ色々解決して乗り越えていく話」という認識をしていた。

だからTLで意見が二派に分かれていているのだとも思っていた。

 

観た感想

これは「シェルブールの雨傘」だ、と思った。

もとより途中で気づいていた気がする。あえてのミュージカルであること、季節ごとのあからさますぎる場面転換、登場人物たちが着ている服の色選択、大道具の大仰なまでのフランスモチーフ(モネの"印象・日の出"を思わせるような筆使いのセットは本当に感動した。)、ミアの一人芝居の構想メモに出てきた"ジュヌヴィエーブ"の人物名(ここではっきりとラストまでの嫌な予感がよぎった)、そして本当はお互いのことを想い合っているのにも関わらずミアとセブのすれ違っていくストーリーに、「スタッフたちは現代版シェルブールの雨傘を作りたかったのだ」と納得がいった。

ただしシェルブールの雨傘と違う点は、ギイとジュヌヴィエーブの二人は戦争に引き裂かれるわけだけど、ラ・ラ・ランドは違う。セブとミアを引き裂いたのは、生活である。

セブはミアの夢を支えるために、本意でないジャズ演奏で食べていく。しかしそこで二人の考えがどんどん遠のいていく。そこが現代の人間とも価値観がマッチングしていて非常によいと思った。

 

ただ、私はシェルブールの雨傘とどちらがいいと言われたら、間違いなくシェルブールの雨傘を推すだろう。理由は3つある。

一つは音楽である。冒頭の高速道路でのミュージカル"Another Day Of Sun"は最高に良かった。それでもミシェル・ルグランに勝ってはいないというのは、おそらく映画フリークの人なら納得してくれると勝手に思っている。

二つめはストーリーと演出である。シェルブールの雨傘は二人が別れた理由に、納得がいってしまうのだ。そして観客は「もしも戦争がなかったら」などと他の世界線を空想することで現実世界に楽しく戻ってこれるのだ。

一方ラ・ラ・ランドは「どうしてそっちの世界線を選んでしまった」と多少首を傾げざるを得ない話なのである。それこそ、5年前に最後に公園で二人が会話を交わしたときは「もしかしてうまくハッピーエンドに持って行ってくれるんじゃないか」とすら期待したのに、そこをif世界まで用意されて、「ありえないよ」と裏切られたのは大きい。

最後に、この作品は結局はシェルブールの雨傘のオマージュでしかないのだ。シェルブールの雨傘の印象すら感じさせない作品にしない限りは、それを超えることはないだろうと自分の中で理由付けている。

 

とはいえ、ラスト10分のif世界は御多分に洩れず泣いた。正直結末を認めたくなくて、さらにはif世界の映像・演出・音楽が本当に素晴らしすぎて、ミアが他の男と結婚して子供まで生まれている現実世界の方がif(これは悪い夢)で、ミアとセブがうまくいく話とリンクして未来に戻ってきてendになってくれるのだとすら思ってしまった。

だからずるい。この作品は「ifでもしうまくいっていたら」を観客には考えさせてくれない。

 

余談

ラ・ラ・ランドは吹き替え版も気になったのでキャストが知りたくなった。そこでgoogleでサーチしたけど、上位トップページに上がるのが個人ブログの適当な文章のサイトばかりで萎えた。google頑張ってほしい。