みたぬメモ

地味にメモ

フルメタDC版を観てきたよ〜ハリセンというアイテムにおける、ヒロインへの魅力度貢献の考察〜

先日、フルメタル・パニック!ディレクターズカット版を観てきました。(以下、これらのシリーズを総称する言葉として"フルメタ"を用います。)

 

私とフルメタの出会いはもう10年以上前にも遡ります。兄がふもっふを観ていたことがきっかけでした。

私自身が作中のモデルとなった調布に長く住んでいることもあり、しばしば挿入される地元ネタにまず反応。そして非常に魅力的なキャラクターたちが織りなす学園バタバタコメディに、「おもしろいなー」と思うのは当然のことでした。兄の書架から漢数字シリーズ、いわゆるふもっふパートを借りては読み漁る毎日。宗介による銃痕が残る校舎に、かなめのハリセンがうなる楽しい高校ライフに没頭。さらには兄のスパロボプレイ画面を横から眺めて「あれ、なんで宗介が戦っているの?」というトンチンカンな質問をした日々。

 

そして兄の誕生日に、燃えるワン・マン・フォースとつどうメイク・マイ・デイをプレゼントしました。当然のごとく自分も読むものの「あれ、結構シリアスなSFアクション小説なんだな」とようやく認識。クルツやマオといった味方キャラクターの役どころをまったく掴まないまま、レナードやカリーニンがラスボス側であることを把握し、物語の終盤戦を読んでいる愚行に気づくのは数年後である。

作者様にもファンにもかなり失礼な読み方をしたまま「なんかおもしろかったなー。せっかくだから最初から追いかけたいなー。」という気持ちが募ったところに、SFアクション本編ディレクターズカット版上映のお知らせでした。

これは観るしかありません。悪いヲタクたちを誘って行くことになりました。

 

=============================

映画の感想としてはやっぱりおもしろくて、アーバレストが起動するシーンは胸熱だったしガウルンとの戦闘も息を飲むアクションでハラハラさせられっぱなしでした。

かなめのウィスパードとしての覚醒の瞬間も「あーなるほどなるほど」となったり、あとはかなめと宗介の関係性に注目をしながら観ていたんだけど相変わらず宗介の朴念仁っぷりもかなめのツッコミっぷりも…………て、え、あれ。

 

かなめってこんなに乱暴なキャラだっけ???

 

と、違和感を受けた。(ちなみに、ハリセンは学園パートのみに使われると後で知る)

いやまあもちろん映像演出の問題もあるんだと思うんだけど、最初のコピー用紙のくだりで「え、宗介にそんなに乱暴な手段で詰めるの?? でも宗介と事前にどのように行動を起こすかを徹底共有しなかった、かなめの司令官としての詰めの甘さじゃない? っていうか、そもそもいくらミスコピーをされて自分が所属する生徒会のコピー用紙の在庫がなくなったからって、それを職員室からパクる行為もどうなのよ」とかいろいろ思うんだけど、総評するとやっぱり乱暴なのだ。ふもっふのときは多少かなめが理不尽な思いつきをしたとしても、別段何も思わなかった。もっといえば、「テッサよりもかなめの方が面白くて好き」という感想すら抱いていた。

序盤ということで宗介との心の距離もまだ決定されておらず(なにせ、「相良くん」呼びだし……)、かなめにとって楽しい日常をいきなり破綻させてくる不愉快な転校生ということで、随所のかなめの心情を追うのは苦ではない。わかりみがある。一方で国領駅(地元民としてはひたすら懐かしいことに地上駅仕様)で、かなめが下車したのを無理やり身体を張ってでも追いかけようとした宗介に、心を動かすところもなんか共感できる。「そこまでしてくれるなんて、アタシって君にとってそんなに特別なんだ」と、勘違いしちゃう。荒唐無稽っぽいけどこれがいいんだよこれが。

それでも一部、たとえば宗介が風間とベランダで話し込んでいるところに遭遇した後のかなめの宗介に行った態度は、正直理解できない。いやこれが宗介がかなめにとって"普通のクラスメイト"なら、普通に気持ち悪いでしょ。もっといえば警察に通報するなり担任に相談すればええやん。修学旅行のごみ係として彼を指名した使命感もあるのだろうけど、それでも宗介を断罪せずにむしろ彼に対して拗ねた態度を示すあたり、「えー、これはもう宗介に何かしら期待なり情が移っている人間の態度やん」と思わざるを得ない。でもそれをキョーコに言及されているのに、認めようとしないかなめの態度に納得がいかない。いや、納得はできるんだけど寛容できない。おまえ、宗介に惹かれているって自覚しろよアマ!とすら思ってしまう。

このへん、暴挙ながらも燃えるワン・マン・フォースのかなめとレナードの会話を読み返すと、「あーやっぱりかなめって自分が惚れたイケメンには情を持つけど、そうでない男にはイケメンだろうが醜男だろうが同じレベル感で切り捨てるんやな」と改めて思う。

かなめにはかなめなりのイケメン(好きになる人)のモノサシがあって、たまたま宗介がそれに一致したんだろうと思う。男性にはなんとも理不尽な話であるが、それが女子高生という生き物だと自分は解釈している。

 

いや、でも、やっぱり、乱暴なんだよ

 

愛情表現が乱暴であるというのはもちろん、物理的に乱暴なのだ。なーんで宗介を蹴ったりコピー用紙での束で宗介の顔をグイグイ押し付けたりと、そこまでやれちゃうの?と、宗介には本当に同情せずにいられない。端的に言えば愛がないのだ。好きな子ほどいじめたいとかそういう範疇ではない、私刑だこれは。

ふもっふでは生まれなかった「かなめは乱暴」という感情が、どうしてDC版(ないしは本編パート)では自分の中に生まれるんだろうなーと考える。宗介が本編だといいやつだからか? それも違うと思う。やはり宗介は宗介で常識が足りず、朴念仁の上に周りに迷惑をかける行動に移しがちだから、あれはあれでセーブをかけるなり制裁を落とす必要があると思う。

じゃあ何によって宗介の行動を正す必要があったか……暴力ではない。ハリセンである。

何をバカな、と思われるかもしれないけどこの三日間俺も真面目に考えたんだ!

実際シティハンターの香がハンマーでなくて単なる暴力なら? ないしはるーみっくワールドのヒロインのような、可愛らしい表現のパンチでなくて本気の拳なら? これらのヒロインの魅力は大いに下がっていたと思う(要出典)

でも実際、かなめの暴力は見ているこちらとしても結構キツいものがあって、それだけでヒロインであるかなめの株価を下げているように感じた。なにせ宗介無抵抗だし。いくら宗介が最強のソルジャーであり、かなめのような素人の暴力など暴力とも思っていないかもしれないけど、さすがにあかんでしょ。

ヒロインが愛を持ってヒーローの行動を諌めているかどうか、それが案外ハリセンであったり創作独特のコミカルな擬音語であったりなのではないか。

 

などと思ったけど、そもそもラノベのヒロインにどこまでリアル感を求めているんやというお気持ちにもなりました。

まとまりがないのでひとまずこのへんで。