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実写版デビルマンを観て目のハイライトが消失した〜ぼくのなつやすみ12日目〜

実写版デビルマンを観ました.半分だけ. 

デビルマン

デビルマン

 

ちなみに私はデビルマンの読者です.初めて読んだのは小学生の時で,最初こそ永井豪先生の泥臭い絵柄に戸惑いを覚え,そしてサバトや苛烈な暴力や血を伴う殴り合いといった非常にバイオレンスな描写を乗り越え,いくつかのトラウマを超えて,最終回まで走り抜いた時は「なんて見事に一つの善と悪について描き切った作品だ」と,小学生さながらに激しい衝動が身体中を駆け抜けていったのを覚えています.

あと余談だけど永井豪先生で似たような作品は手天童子もおすすめ

 

〜〜ここから地獄の始まり〜〜〜

 

あるレビューでは「財布の中のレシート整理していた方がマシ」とまで言わしめられていた実写版デビルマンですけど,とはいえ「観てもいないのに視聴しないで『これは観てはいけない作品』などとレッテルを貼るのはいかがなものか」という義勇が自分の中にありました.

名作も駄作も,自分の言葉で語らないと結局は何にもなりません.

 

 

ある日思い立ち,PS4からamazonプライムを起動して視聴を開始しました.

 

こいよデビルマン!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

観ているうちに胃のあたりがゾワゾワする感覚がせりあがってきて「あっこれは本能が視聴を拒否している」PS4のコントローラーをぶん投げる前に停止ボタンを押しました.

実写映画の開始15分.あのセリフ・「ハッピーバースデーデビルマン」のあたりまでです.平均的なJ-POPなら3~4曲かけたところまでで,初回鑑賞は心が折れた.

 

完全に敗北です.

 

もう本当につらい,今日も半分ぐらいまで観たんですけど「この映画はカルマが溜まる.たとえるなら鳩にLチキを与えるぐらいカルマが上昇する」などという名言まで残しました.

 

 

まず主要キャストたちの棒読みがつらい.「おれデーモンになっちゃったよー(棒読み)」に悲壮感も恐怖感も何も伝わってこない.

表情と仕草と声,そして行動の心情が一致していない人を延々と見せられるだけで精神がえぐられるようになってしまうのは,なにかしらの防衛反応が起きているのだろうか.「こいつらを信じたら生きていけない」,そんな不安が頭の中をよぎるのだ.(そしてそれは正解する)

 

 

容赦なく続くキャストたちの棒読みセリフ.

なぜか説明口調の人物.なんか過去に罰ゲームでいやいや恥ずかしいセリフを読ませられた友人たちのことを思い出す.ああいう感じ.

 

気の抜けた「はぁー!」といった掛け声.わかる,高校の文化祭のクラス劇ってこんな感じだよね.わかる.

 

 

「滅びろ,デーモン!!(棒読み)」

 

もうわからん,なにもわからん.ただ残る感情は「おまえが滅びてくれねえかな(真顔)」

 

 

そして画面を賑やかにしてくれるのは妙に細かく,そしてことごとく外した小道具・大道具の演出.

植木バサミで切れる人間の指……そしてくっつく人間の指……

 

主要キャラ・飛鳥了の怒りと武力の誇示演出として,折られる不動明鉛筆。私だって鉛筆ぐらい折れるんで,調子に乗らないでよ!!

 

もう本当に挙げだすとキリがない.

どうして居候のお祝いケーキを作るのにプロのコック帽を着用する女子高生がいるのか.

どうして居候の誕生日を祝うバイクのシートにデカデカとラッピングリボンを乗せるのか(ベタベタになりそう,あとどうやってラッピングしたんだ)

どうしてバイクなのに波打ち際を走れるのか,そもそも走ったら錆びない!?ねえ!?

あと二人乗りバイク走行中でおしゃべりはまず無理だし,あと半立ちするなよ美樹ちゃん!!!死ぬわ!!!!!!!

この映画作った人たちバイク乗ったやつ絶対1人もいないだろ!!!!?!?!?!?!?

 

 

もうストーリーもすごい

 

 

すごくひどい!!!!!!!!!

 

原作では,デビルマンとなった主人公・不動明と一緒に,人類の敵となるデーモン退治に協力してきた飛鳥了が,最終話間際で実はラスボスのデーモン・サタンだったと知り,読者は激しいショックを受けます.

なのに自ら「おれ,デーモンになっちゃった.死にてえ.」と真実を不動明に早々に明かす飛鳥了.ついでにサタンの姿にまで変身している.おまえこれもう話が破綻するとかいうレベルじゃねえぞ.修復不可能なぐらいで手遅れだ.

サタン・飛鳥了は愚かな人類の知恵じゃわからない知略があるため,「死にてえ,殺してくれ」と不動明に頼む一方で,「生きるんだ」と諭すサタンさま.おまえなんだわがままか???

 

 

あとなんかサンバの格好したおばさんがいきなり現れて,主人公にいきなり攻撃してきて,気づいたらいなくなってたり,

 

ちなみにサンバのおばさんは,主人公がお世話になっているヒロイン宅を急襲してきたときに衣装の羽を落としていくんだけど,その羽をあとで見つけたヒロインは意味深な表情を見せるカットが入る.いやそれおまえ普通に「鳩が空で喧嘩したんやな」としか思わんやろ!!?!?!? なんで「まさか主人公くん……なにかに巻き込まれてるんじゃね!?」みたいな表情と態度になれるの!!?!?!?

 

美しいシレーヌ・カイム戦は映画ではカットされた,いいね.

 

 

 

そして次,いなくなった友人を探しにに行く主人公.

なぜか一回浅瀬で顔面をパシャッと海中に入れ,「どこだーー!!」と叫ぶ主人公,おまえそれ冷蔵庫をガっと開けて「傘どこだーー!」って言っている人と変わらんぐらい無駄な行動ぞ??? あとバイクどうやって波打ち際の浜辺に置いたの??

そしてようやくデビルマン変身して林に移動して友人を発見.

いやおまえ,最初からデビルマンになっておけばよかったんじゃね?????

なんでそういう手間惜しむの?? 予算の都合??? もうツッコミが止まらない.

 

 

そして出会う亀のデーモン・ジンメン! みんなのトラウマ,ドンドコヤバイよ!!

ジンメンは亀型のデーモンです.食べた人間の顔が甲羅に浮かび上がり,その顔は表情も生きていた頃と一緒で,会話も可能です.(詳しくはggって.)

 

原作のジンメンは「おまえたち人間だって豚や牛を殺して生きている,それに比べて俺は生かしたまま食っている.なにが悪い? デーモンと人間の違いはあるか?」と,戦闘の中で善悪の価値判断を不動明デビルマン)に問うてきます.

そしてジンメンの攻撃自体は単調なものの,甲羅に浮かび上がる知り合いの女の子の言葉や表情を思うとジンメンを倒せないデビルマン.くぅ〜〜〜卑怯ですジンメン.

 

 

さて,実写映画のジンメンです.

 

友達はジンメンに喰われたっぽい!(うん)

 

甲羅に浮かび上がる友達「俺はもう死んだんだ(棒読み)」(うん)

主人公と友達が話すのを待っててくれたジンメン「おまえは誰だぁ!?」

 

「ほろびよ、デーモン!!!(棒読み)」

 

ワンパンチで躊躇なく倒しちゃうよジンメン!!!!

 

 

翌日.担任が友人の遺影を机の上に置く.定期テスト中に.

そしてテスト中に目配せし合う不動明飛鳥了おまえら全員悪魔だ!!!!!

 

 

 

なんかあとデーモン扱いされた人が,武器も何も持たない特殊防護服を着た人たちにドロケーさながらに田んぼの中で捕まっていて,「弱いものいじめってサイテーだな……ところでこの世界ではまだデーモンの恐ろしさについて全然語ってないのに,どうして人々の間にデーモンの恐ろしさが浸透しているんだろうな……」と,「彼がいじめられているのは知っていましたけど,理由は知りません」という,冷酷な傍観者になっている自分に気づきます.おそろしい映画です.

 

 

〜〜〜〜

 

そして私は静かにPS4の電源を切りました.むりむりかたつむり.

 

なんかとりあえずつらくなったのでデビルマンちゃんと読み直すね