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地味にメモ

コンテンツグッズと私の話

そういえば私はいつからコンテンツグッズ、いわゆるオタクグッズを買うようになったのかなとぼんやり考えていたので、ちょっとまとめました。単なる回顧録です。

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まず幼少期、テレビでやっていたセーラームーンのおもちゃを兄の友人(女の子)の家で見つけて、「やだ!これがほしい!」と泣いて頼んで果てには帰らないと叫び、その家のおかあさんと兄の友人が苦笑しながら貸してくれたことをきっかけに、渋々母は私のためにセーラームーンのおもちゃを買うようになった、という話をしてくれたのを覚えている。確かにその後も幼稚園ぐらいだかそれぐらいの頃、おもちゃ屋さんですごくキラキラしているピンクの変身コンパクトを見て泣いて買ってくれと頼んだ記憶もある。その当時はただ光る・音が鳴るだけのおもちゃながら、飽きずにずーっと触ったり眺めたり、首からかけて(変身コンパクトは幼児向けのチェーンがついていた)、ごっこ遊びをしていた気がする。セーラームーンの世界観に浸っていたのか、あるいは憧れを具現化したものがそこにいて、とにかく嬉しかったんだと思う。

 

その後我が家は2回ほど引っ越しがあり、そのときにいくつか年下のいとこにおもちゃを半強制的に譲るか、処分するというイベントが起きたことと、さらにはもう小学生なんだからという理由であまりおもちゃを買ってもらえなくなった。

そこからなんとなく、自分でもおもちゃに興味がなくなった。それに加えて、小学生のおこづかいではおもちゃ屋さんのおもちゃを買うには少なすぎたということも大きいかもしれない。テレビのセーラームーンもその頃には放送が終了したため、自然と「おもちゃ」からは卒業した。

 

ただし、母が特に漫画やアニメに造形が深い人だったので、いろいろなものを見せてくれた。そして漫画、ぬりえ、着せ替え紙人形といった紙製品は買ってくれていた。

そして自分は毎月1,000円のおこづかいから、集英社から出ている「りぼん」を毎月買うようになった。

それには「応募者全員サービス」という企画があり、雑誌に封入されている封筒に指定金額分の切手を送ることで、一ヶ月以内に欲しい商品が届くという、いわゆる通販制度があった。当時クラスでは種村有菜先生の作品が流行っていて、その作品グッズを手に入れるということは一種のステータスだったというのはあるけど、単純に郵便局に行って指定金額分の切手を封入すると商品が届く、というシステムが当時の自分にはすごくおもしろかった気がする。親も「郵便局に行って、切手を購入して、期限までに自分の住所を書いて投函する」という一連の作業は勉強になると思ってくれて、好きにさせてくれていたのだと思う。実際それで、1人で400円分の切手を購入するにはどういった切手の組み合わせがあるか(80円切手を5枚買うか、50円切手を8枚買うかだけの話なんだけど)を窓口の人に伝えること、住所と親の氏名をきちんと漢字で書く、消印有効日に間に合わせるためにはその日の夕方4時までには投函しないといけない、といった最低限の知識を身につけることができたように思う。

とはいえ、部屋によくわからない文房具や雑貨が増えていく(しかもりぼんには毎月そこそこの付録がついていて、それも乱雑していた)ことに、親はあまり良い顔はしていなかった気がする。

 

 

しかしあるとき、クラスメイトはもう漫画イラストつきのグッズを買っている時期じゃなくなっていると気づきつつあったことと、さらに同時期に郵便局で購入した切手がすごく綺麗で(たぶん季節の背景とかそんな感じのイラストだった)、「この切手はすごく綺麗だ、とっておきたいな」と思った。ただしそこにジレンマが一瞬発生した。自分のお小遣いは毎月1,000円。当時のりぼんは400円ほど。そして毎月バカみたいに応募者全員サービスに応募して、友達と駄菓子を買うような毎日だったので、いわゆる貯金もなかった。切手をとっておくのはいいけど、そうすると今月号の応募者全員サービスの商品は手に入らなくなる。どうしよう。そんなことを考えて、考えて、その月は応募しなかった。

「もういいかな」と思ったのかもしれない。その月はイラスト付きの安っぽい財布を手に入れるよりも、綺麗な切手を残しておくことにした。

こうやって書いていると、好きなものを何も考えず購入を続けるものの、あるとき「もういいかな」というタイミングが来るような感じなのかもしれない。

 

 

でもまた転機がおとずれる。キングダムハーツだ。

発売前コラボキャンペーンとして、三ツ矢サイダーバヤリースオレンジの500mlボトルにキーホルダーがついていたのだ。はじめて手に入れたのはバヤリースオレンジのカイリのイラストキーホルダーだった。初めて見たカイリのデザインはすごく衝撃で「すごくかわいい、ほかのも集めたい」と思った。当時はファイナルファンタジーも好きだったんだけど、リアルすぎて、いまひとつ「大人のゲーム」という気持ちがあった気がする。そこにやってきた、少女漫画ほど目も大きすぎず、けれどディズニーとうまいぐあいに調和してデフォルメされたイラスト。もう釘付けだった。

親と買い物に行くたび、「バヤリースオレンジと三ツ矢サイダーが欲しい」とたびたびねだった。

でも親もそんなに毎度500mlジュースは買ってくれない、コラボ期間は早々に終わり、自分はキーホルダーを集められずに終わってしまった。すごくかなしかった。

 

その時期、もう一つの転機があった。インターネットである。

まだADSL回線もなかった気がするのだけど、ヤフーのオークションサイトを見て、バヤリースオレンジと、三ツ矢サイダーのコラボキャンペーンキングダムハーツキーホルダーがそれぞれ出品されていることを知った。700円だ。高い。けど、すごくほしい。

親はネットオークションなんて時期尚早だと思ったのかもしれないけど、「これも勉強になるかな」と思ってくれたのか、親のアカウントを借りて落札して、出品者と住所や振込口座の連絡などをメールでやりとりした記憶がある。そのときゆうちょ口座も開設して、出品相手には大変申し訳ないぐらい手こずったけど、すごく勉強させてもらえた。

 

届いたときはものすごく嬉しくて、もう少女漫画グッズは卒業していたけどキングダムハーツのキーホルダーチェーンは筆箱につけていった。

授業中に野村哲也さんの描いたソラ・リク・カイリのイラストを眺めて夢想していたし、もしこのときに学校に何かしら事件が起きたら、この筆箱もといキーホルダーだけはなんとしても死守するんだ。そんなことを考えていた気がする。

 

 

あと自分はもともと絵を描くのが好きで、だからそもそもイラスト付きのグッズに強く惹かれていった気がする。休み時間も家でも種村有菜さんの絵や、野村哲也さんのイラストをよく真似していた。

だから、イラストが入っているグッズがすごく欲しかったし、まんがもたくさん買っていたんだと思う。新しいイラストが公表されるたび、目を輝かせて一生懸命真似していた。

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わたしにとってグッズを買うという行為は、コンテンツ支援とか他者へのマウンティングだとかそんな面倒なものではなく、もともとそのイラストが好きで真似したいから買っていたのと買い物のフローが勉強になっていたから、という非常に単純な話だった。けどこれらは本質的な買い物の仕方ではないような気がする。

 

なんでいきなりこんな日記を書いたのかというと、近年、経済的に余裕が出てはいるものの「あれも、これも」という自分の買いもののスタイルにはさすがに疑問を覚えてきていた。「本当に欲しいものはなんだろう」「それを買って、自分はちゃんと使いこなせるか?」「単純な消費と収集行動ばかり続けていても、必ず上はいるし限界はある」という気持ちと向き合っていた。

ちょうど同世代の同じコンテンツが好きな友人たちも、家庭があるからという具合で、買い控えたりだとか、整理しているという話も聞いていたり、そのうえ自分の実家も引っ越すということになり、家に置いてきている様々なグッズのことを思い出して、「自分もそろそろ潮時なのかな」ということを考えざるを得なかった、というのが近いかもしれない。

 

そこで自分はどうしてコンテンツグッズを買っているんだろうな、と改めて昔のことを思い出しながら書いてみた。けれどグッズ本来の本質欲しさ(たとえば傘とかなら、傘の性質にこだわって買うだとか)に則った理由で買っているのではなく、やはりむかしから「コンテンツと決済フローありき」で買い物をしていた自分に苦笑している。

 

 

でも、何も考えずに買い物をするのが、買い物の一番の楽しさかもしれません。

そんなこんな、今後もやっぱりいろいろ買いあさるんだろうなあと考えていました。おわり。

 

 

最近読んだこの本もすごい。やっぱり消費行動も上には上がいる……。