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キングダムハーツの新宿駅メトロプロムナードでのリーフレット配布はどこが良くなかったのか

 

■はじめに

リーフレット5枚しかもらえなかった(かなしい)

ファンの感情やスクエニの広報担当者もいろいろあると思うんですけど、ここではあくまで数値に基づく検証・提案をしていきたいと思います。

 

メトロプロムナードでの配布方式

まずキャンペーン内容についてざっくりまとめると、以下の通りです。 

  • キングダムハーツの広告が6/25~7/1の7日間、新宿駅メトロプロムナードで打たれる
  • 各日10:00, 14:00, 17:00, 20:00の4回ずつ「メモリアル・リーフレット」が配布される
  • リーフレットは広告面に設置されている絵本型ボックスから、ランダムに一枚取得可能。ボックスは計5つ
  • リーフレットは全部で15種類。どの種類がボックスにセッティングされているかは、ブラインド形式のため、客は取得前に確認ができない
  • 客は一回並べば、5枚取得できる(≒客は一回並ぶたびに、5つあるボックスから一枚ずつとっていける)
  • 開始時刻前には集合してはいけない

 

ここで問題が起きました。人が集まりすぎたため、25日の14時回をもって配布は中止になりました。

おそらく道交法に引っかかってしまい、指導が入ったのだと思われます。

参考:やってはいけない道路上での禁止行為とは?「道路法」「道路交通法76条」解説 | 契約書のひな形・書式・書き方が無料

 

 

■現場検証

その場に居合わせた人たちによる、動画やツイートから情報を整理します。

 

まず、ボックスからリーフレットを抜き出す処理時間です。(ちなみに自分は14時回でクリアファイルごともらったため、ボックスから引き抜けていません)

 こちらの方の動画を確認すると、ボックスからリーフレットを取り出すのにかかる時間は5秒です。

 

次に、どれぐらいの人数がきたのかを予測します。

 

こちらの方のツイートによると、配布開始時刻10時から15分後に打ち切りとあります。

つまり、少なくとも開始15分には捌き切れないほどの人数が来た、と考えることが可能です。

 

■ボックス(システム)の処理能力

当日の運用方式ですが、

  • リーフレットを受け取るための入り口は一つ(他の場所でリーフレットは受け取れません)
  • 窓口を通過すると、1人につき5つのボックスを回る
  • 1人が最初のボックスからリーフレットを手に入れ、最後のボックスからリーフレットを受け取る移動の間に、新しい人はどんどん入ってくる

 

ここでボックスは、常に人を捌く状態になります。

そして1人の人にかかる時間は5秒です。

すなわち、ある1点(ボックス)において、1人に5秒をかけている状態になります。これはボックスが5個あっても10個あっても変わりません。

 

ここで仮に、スクエニ側が400人の来場者を想定していたとします。

400人の人を5秒かかるボックスで対応するので、すべての人を捌こうとする場合、400 * 5 / 60 = 33.3(分)かかります。

30分程度なら、十分対応できそうな時間かもしれません。

 

でも、ボックスが対応(処理)している間に、人がどんどん増えたとしたらどうでしょうか?

 

ここでは、ボックスが5秒で1人を捌く間に、3秒に1人が新たに列に並んだと仮定します。

ボックスが15秒で3人を捌いている間に、列には5人並ぶということです。

この時点で、列全体は2人が増えます。つまり7.5秒で列全体には1人が増えていくことがいえます。

 

もう一つの状況を思い出します。15分で列は打ち切られました。

もし3秒に1人並ぶペースが続いていたと仮定すると、15 * 60 / 7.5 = 120人ほどの人が増えたと言えそうです。

列全体に増えた120人をさらに捌こうとした場合、5 * 120 = 600秒、つまり新たに10分が必要になります。

これだけだと、じゅうぶん対応できそうな時間に思えるかもしれません。でも120人と言うのはあくまで3秒に1人がきたと私が勝手に考えた数字です。

実際は1秒に1人以下がきたのか、部数がそもそも足りなかったのか、それとも30分ほども人の列を広告前におけない(※)ということだったのかはわかりませんが、いずれにせよキャパシティオーバーだったことがいえそうです。

 

※ 並んでいる1人につき0.75mほどの幅をとると検討すると、400人が一気に並んだとすれば列の長さは300mになります。

14時の回は一気に並んではおらず、反対側の壁に待機→何人かに分けて配布という形をとっていましたが、それでも20人、つまり全長15mの団体が通路を横切る形で通ったら確実に迷惑と言えそうです。 

 

■1人の人にかかる時間

もうほぼほぼ答えは出ていますが、次は人の動きの方で考えましょう。

1つのボックスの処理は5秒かかります。

入り口から、ボックスでリーフレットを受け取るまでの移動と処理時間に10秒かかるとします。そして最初のボックスから次のボックスにてリーフレットを受け取るまでも10秒……という具合に考えます。

ボックスは5つあるため、1人につき1分ほどかかることがいえます。

その間もポアソン分布にしたがって、人は列に到着するといえます。(詳しくは待ち行列計算とかで調べるとよいです)

したがって1分の間に1人以上の人が来た場合、この列は混雑に向かうといえます

まあ、新宿なので。どう考えても破綻しそうです。

 

■運用がまずい

ボックスの処理時間をこれ以上短くするのは無理でしょう。(むしろ5秒で済んでいるのがすごいと思います)

そうなると、ボックスの処理時間に対して人が来すぎて運用のキャパシティを超えたということがいえます。

あと1回並んだだけでは15種類あるリーフレットをコンプリートできないため、また並び直す人は当然いそうだよねという指摘はTLにもぼちぼちあがっていました。

 

混雑をなくして皆にリーフレットを配布するには、運用方式を変えるのが一番だったかもしれません。

たとえばですけれど、新宿駅にこだわるのであれば整理券方式にする、駅にこだわらないのであればpdf方式でネット配布する、といったオペレーションが考えられそうです。

 

まあ、こういった混雑騒動を起こして注目を集めることが目的であった場合、見事なプロモーションであることはいえそうです、、、が。

ただ、語弊を恐れずに書けば、キングダムハーツは命、もとい日常生活がないとプレイできません。

そういった意味でも、場所と期間を限定的にしただけでなく安全面を損なうほどのファンの負担を強いておき、一方でリーフレットを受け取れず悔しい気持ちを持つファンが出るような、プロモーションを正解にしてしまうとなると、あまりにも、あまりにもキングダムハーツを好きなファンをないがしろにしてしまっているとは思います。

あくまでも広告効果のためにファンを使ったのであれば、いちファンとして非常に残念なオペレーションだったと、感じております。 

 

■おわりに

それでもキングダムハーツが好きです。皆さんも広告見かけたらよろしくね

 

■Thanks

数値計算に関して、いまみやさんに系統立ててまとめてもらえたおかげで大変捗りました。ありがとういまみやさん、今度パフェごちそうします。